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『わたしのおすすめ』 ① 本 〈第1回: 京都市社会教育委員会議議長  井上 満郎さん〉

  • 社会教育委員
  • 2011年9月14日

『わたしのおすすめ』 ① 本 〈第1回: 京都市社会教育委員会議議長  井上 満郎さん〉

 このコーナーでは,本や音楽など様々なジャンルにわたって「学びの達人」のみなさまから「イチ押し」を教えていただくコーナーです!
 今回のテーマは,読書の秋にちなんで「本」です。たまには普段読まないジャンルの本を手に取ってみるとまた違った世界が楽しめるかもしれませんね。
 記念すべき第一回は,京都市社会教育委員 井上満郎さんのおすすめ本です。


 ◍ 本のタイトル『古代国家はいつ成立したか』(岩波新書)
 ◍ 著  者 :都出 比呂志(つで ひろし) 氏


 古代,文字通りにそれは遠い昔のことです。そしてその古代に,日本列島には国家が誕生しました。日本という「国」は,なにかしら古い時代からあったように思うかも知れませんが,ある歴史的な時点でできあがったものでして,日本列島に人が住みつきはじめたはじめから国家があったわけではありません。
 ではいつ,日本に国家ができたのでしょうか。学問のうえではこれには面倒な議論がありまして,要するに国家とはなにか,という考えかたによって成立の時期はちがってくるのです。それをここでお話しするのはやめますが,そうした面倒な議論をしっかりと踏まえて,しかし具体的な資料にもとづいて分かりやすく日本の国のはじまりを書きあらわしたのがこの本です。都出さんは今から千五百年ほどまえに「初期国家」ができたといわれ,それがほどなく本格的な国家に成長して,その国家は現在にまでつづいています。もちろんその間にはいくつもの切れ目というか国家の性質の変化や,また戦国時代のようにあたかも日本には国家がないかのように感じられる時代もありました。
 国家というと,なにかたいへん固いテーマに見えます。しかしこれから先の日本を考えてみればよいのですが,国家というものなしにわたしたちは生きてゆくことができるでしょうか。これからのこの地球上に住む人びとが,少し極端な言いかたではあるのですが,どの国家にも属さないということはありえないと思います。それなら私たちはよりよい国家をつくるためにはどうすればよいか,日本列島に国家が成立した古代にまで立ちもどって考えてみるために,この本はたいへん役立ちます。

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